イタリアの小さな村の伝統菓子チエッリ Cielli|チヴィタカンポマラーノのお祝い事のお菓子

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結婚式のお菓子

今回はイタリアのモリーゼ州チヴィタカンポマラーノで結婚式などのお祝い事のときに作られる伝統菓子「Cielli チエッリ」をご紹介します。



チヴィタカンポマラーノの伝統菓子チエッリに使われる魔女のお酒ストレガ(Liquore Strega)とは?

チエッリはチヴィタカンポマラーノ(Civitacampomarano)の伝統菓子で、昔は結婚式などのお祝い事のときに家族の手によって作られていました。今では伝統を守って作られた製品のみが「Cielli チエッリ」を名乗ることを許されています。チヴィタカンポマラーノにあるお菓子屋さんでは伝統の製法を守り、ひとつひとつ手作りされています。

チエッリはお酒で香りづけした生地、ブドウを煮詰めて作るフィリング、結婚式を華やかに盛り上げる形や模様の3つの特徴があります。




イタリアのチヴィタカンポマラーノの伝統菓子チエッリの生地に使われる材料はセモリナ粉、ラード、砂糖、卵、エキストラバージンオリーブオイル、リキュールです。



レシピには「una goccia di Liquore Strega,Vermouth e Sambuca」とあるように、ストレガ(Liquore Strega)、ベルモット(Vermouth)、サンブーカ(Sambuca)の3種類のお酒が香りづけに使われています。




ストレガ(Liquore Strega)はアルコール度数40度のイタリアのリキュールでシナモンやアペニン山脈のジュニパーなど約70種類ものハーブやスパイスが使われており、サフランで色付けされた黄色いお酒の色が特徴です。




「ストレガ(Strega)」は「魔女」という意味で、魔女のお酒とも呼ばれています。ストレガ発祥の地と言われるカンパーニャ州のべネヴェント市(Benevento)は魔女の儀式が行われた場所であったという言い伝えがあるそうです。世界中の魔女たちがくるみの木のまわりに集まって、夫婦を永遠に結びつける魔法のお酒をつくったと言われています。




ベネヴェントを本拠地とするサッカークラブチーム「べネヴェント・カルチョ」のエンブレムは「ほうきに乗った魔女」。ぜひこちらも検索してみてくださいね。




さて、残るふたつのお酒ベルモット(Vermouth)にはニガヨモギ、サンブーカ(Sambuca)にはエルダーと呼ばれるハーブが使われています。エルダーはヨーロッパでは大変人気のあるハーブのひとつで、お酒以外にもエルダーフラワー(花)やエルダーベリー(実)を使ってお菓子やジャム、コーディアルなどが作られています。




セモリナ粉、ラード、砂糖を軽く混ぜ、ドーナツ状に広げたら、エキストラバージンオリーブオイルと魔女のお酒をちょっぴり忍ばせた溶き卵を流し込み生地をこねていきます。


チヴィタカンポマラーノの伝統菓子チエッリ(Cielli)のフィリングの作り方

イタリアのチヴィタカンポマラーノのチエッリのフィリングに使われるのは「Montepulciano(モンテプルチアーノ)」という品種のぶどうで、10月に汁気がなくなるまで煮つめてピューレ状にして準備をしておきます。




煮詰めたぶどうのピューレ、はちみつ、アーモンド、シナモン、ナツメグ、クローブ、すりおろしたレモンとオレンジの皮、コーヒー、チョコレート、砂糖、セモリナ粉、魔女のお酒(ストレンガ)を鍋に入れ、すりおろしたパン粉のようなもの(クラストブレッド)を少しずつ加えていきます。レシピにはココアパウダー以外を鍋に入れると書かれていたので、仕上げにココアパウダーを入れるようです。




パンが水分を吸ってクリーム状になれば完成です。カスタードクリームやレモンカードのように冷えると固くなるので鍋を火からおろすタイミングが重要なポイントだそうです。火からおろしたフィリングは熱が入りすぎないように、陶器の容器などにうつして粗熱を取って冷まします。


チヴィタカンポマラーノの伝統菓子チエッリ(Cielli)結婚式を華やかに彩る形と模様

チエッリの生地とフィリングができたら次は成型です。生地を長さ30cm、厚さ5mmくらいにのばしていきます。のばした生地の真ん中にフォークを使ってフィリングをのせていきます。生地の両端をつまんで閉じたら、つまんだ部分を下にして転がして円柱状にしていきます。




生地が円柱状になったら方面を手で少し押さえて平らにします。手のひらでチョップするように切れ目を入れてカッターで切っていきます。幅6cm、高さ5cmと書かれていたので、かなり立体的な形をしているのがわかります。




チエッリには他にも指輪のような輪っかの形や馬蹄形、鳥や人形の形などがあります。馬の蹄の形は幸運や豊かさと繁栄のシンボルでもあることから、お祝い事にぴったりの縁起の良い形なんですね。




生地の成型が終わったら、いよいよ生地の表面に模様をつけていきます。ピッツィカロラ(Pizzicarola)と呼ばれる鉄製のピンセットでつまんで模様を刻んでいきます。ピッツィカロラ(Pizzicarola)は地元の鍛冶職人さんが作っていて、チエッリと名乗ることができるのはピッツィカロラで作られたものだけだそうです。



模様の意味はギリシャ語に由来しているようですが、私のイタリア語の読解力ではわかりませんでした。模様にはフィリングが流れ出てくるのを防ぐために穴を開けるという目的もあるそうです。




175℃~180℃のオーブンで40~50分ほど焼き、きれいなきつね色になったら完成です。黄金色のお菓子が結婚式をぱっと華やかにしてくれます。




イタリアのチヴィタカンポマラーノの伝統菓子チエッリを作っているお店のホームページや紹介動画を見つけましたので、よろしかったらご覧ください。
※海外のサイトにリンクします。




チヴィタカンポマラーノのチエッリのお店のホームページ I Cielli




チエッリ紹介動画 I Cielli




ピッツィカロラ紹介動画 Pizzicarola




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